それはわるいことです
カテゴリ:日本語教師のつぶやき
以前テストの話を書いたので、テスト関係のことでもう一つ。
日本語教師をやっていて、たまに、いかに自分が日本の社会、日本の文化、日本人としての文脈に規定されているか、気づくことがあります。
ここのところマレーシアにいたころのことを書いているので、思い出したのが定期テスト後のフィード・バックの時間。
二者択一、いわゆる○×式や、どちらかにマークをする問題がそのときのテストに出題されていて(二者択一の問題は信頼性が低いので、個人的には作りたくないですね。)、ほとんどマークしていない学習者が複数いました。
「急いでどちらか選べばよかったのに」と言ったところ、「どちらが正しいかわからなかったんです」という発言があり、「じゃあ、たぶんこっちだと思うものにマークすれば、1/2の確率で点取れるでしょ」と言ったら、「先生、それは悪いことです。正しい答えを知っている、間違って覚えている、わからないという三つが区別できなくなります。」と言われて、けっこう衝撃を受けました。
ゲームで得点するようにテストの点数をとらえていた自分の考え方は「間違っているのかもしれない」と、その他の学習者の「当然」という表情を見て、考え始めました。今から二十数年前、三十歳を目の前にして。
H.M.