動かすか、動かさないか
カテゴリ:日本語教育
赤門会日本語学校日本語教師養成講座420時間コースには選択科目というカテゴリーがあって、30時限以上の履修が義務付けられています。どんな科目があるかといいますと、日本の伝統文化に関わるもの、イベント参加、また外国語入門などがあります。外国語入門で今まで扱ってきたのは中国語、韓国語、ベトナム語、トルコ語、ロシア語です。この他にも開講可能となれば、さまざまな言語を紹介していきたいと思います。
外国語入門を開講する目的は二つあります。ひとつは「入り口程度でかまわない」から、受講者にさまざまな言語に触れてもらい、言語の多様さを実感してもらうこと。もう一つは「学習者の立場に身を置く」ことにより、学習者からみた日本語習得の実際(つまり、大変さですね)を仮体験してもらうことです。
先日受講者と中国語担当の先生のやりとりが耳に入ってきました。
受講者「巻き舌の音がなかなかできません。」
先生 「そうですね。日本語では使いませんからね。」
どんな外国語でも難しい発音は必ずあります(もちろん日本語ネイティブにとって、発音がやや簡単な言語から、非常に大変な言語まで差はありますが…)。
日本語以外の言語は日本語ネイティブが発音を習得する際に、今まで使ったことのない顔の筋肉の動かし方を覚えなければいけないというものが多いです。中国語やフランス語を習得した方はピンと来ると思いますが、日本語はあまり顔の筋肉を動かさない言語です。
では、逆に学習者に発音指導をする際に気をつけるポイントはなんでしょうか。そうです、「顔の筋肉を動かさないようにさせる(それでも勝手に動いてしまうのですが…)こと」です。
ですから、演劇の発声練習みたいな指導は逆効果になります。もちろん聞こえないような小さい声ではこまりますが、「ぼそぼそ」とした発音の方が「日本語らしい音」になります。
音声や発音指導法の授業などで発音指導の実際を学びます。
H.M.