文法の話2
カテゴリ:日本語教育
「は」と「が」とは何?
日本語教師でもやっていないと、こんなことは考えることもないでしょう。
「は」は副助詞(日本語教育では「とりたて助詞」という名称が参考書などで用いられることが多いです)、「が」は格助詞で、全く違うものなのですが、文の中で同じ位置に現れることが多いため、学習者の文にしばしば誤用が出現し、スポットライトが当たることになるわけです。
以下その例。
どれは答えですか。
あっ、雨は降っていますよ。
経済の問題について私がよくわかりません。
実は学習者の母語も誤用に関わってきます。
韓国語は日本語に近く、「は」と「が」に近いものがあるので(「は」相当のことばは対比の意味合いを持たないと使いにくいようです)、教師がこの文法事項を教えていなくても、誤用は目立ちません。しかし、英語や中国語はこれに相当することばがないので、誤用が目立ちやすく、「作文を書いたら、先生によく直されるけど、いったい何がどうなってるんだろ?」と思っている学習者も相当数おり、質問してくる場合もあります。
また、教材のタスクが誤用を引き起こす場合もあります。
下の にことばを入れて文を完成させましょう。
私の国では が普通です。
学習者A:私の国では銀行が4時まで開いているのが普通です。
学習者B:私の国では外国人と付き合うのが普通です。
明らかにBさんの文は変ですよね。これは「~が普通です」を「~は普通です」と取り違えているのです。
Aさんは「私の国では何が普通なのか」と考えて、その答えを考えたのでしょう。しかしBさんは「私の国では~ことは普通である」の「~」の部分を考えて作成したのでしょう。
つまりBさんは「私の国では外国人とつきあうことはどうであるか」という問いに対して、「普通(珍しいことではない)です」と考えたというわけです。
今回はここまで。まだ続きます。
H.M.