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せんせいのぶろぐ

母語の干渉(マレー語2)

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カテゴリ:ことばの問題

マレー語母語話者が日本語学習の入門期に産出する誤用をもうひとつ取り上げてみたいと思います。

ちょっと専門的ですが、言語類型論などで使われる「側置詞」ということばがあります。これは主に、その名詞が動詞との関係の中で、どういう役割を持っているかを表示するもので、英語などでは名詞の前に置くので、「前置詞」といいます。日本語では格助詞(「が」、「を」、「に」、「で」など)が該当します。日本語などでは名詞の後ろに置くので、「後置詞」と呼びます。

マレー語はちなみに前置詞です。

 

Saya pergi ke sekolah.

私  行く  へ 学校

「ke」が日本語の「へ」に相当します。向かう場所をあらわしています。

 

さて、日本語では何かをする時の手段・道具を表すのは「で」です。

はさみで紙を切る。

バイクで会社に行く。

 

「いっしょに」ある行為をする人を表すのは「と」です。

友だちと海へ行く。

妻と映画を見る。

 

マレー語ではどちらも「dengan」で表します。

 

Saya makan nasi dengan sepit. (私は箸でごはんを食べる。)

Saya pergi bersama dengan kawan.(私は友だちと一緒に行く。)

 

そんなわけで、授業中にこんなことがありました。

「○○さんは何で学校へ来ますか。」のように、交通手段を言わせる練習をしていました。

「バイクで来ます。」とか「バスで来ます。」とか、答えてもらうわけです。ふと見ると、居眠り寸前の学習者がいたので、指名しました。

「○○さんは何で学校へ来ますか?」

彼はこう答えました。「わた、わた、私は友だちで学校へ来ます…….」

彼がだれかの背中に乗り、鞭を使って、こちらに近づいてくる光景を想像して、爆笑してしまいました。他の学習者も爆笑。彼だけが「は?」という表情で目をこすっていました。

 

H.M.

母語の干渉(マレー語1)

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カテゴリ:ことばの問題

日本語教師養成講座でも学習者の誤用をとりあげる授業がありますが、マレー語母語話者の多くが日本語学習の入門期に産出する誤用を取り上げてみたいと思います。

まず、マレー語の語順に起因すると思われる誤用です。

日本語の語順は修飾語(形容詞や修飾名詞)の後ろに被修飾名詞という語順をとりますが、マレー語は逆になります。

 

Rumah besar (家)(大きい) 大きいうち

Bahasa Jepun (語)(日本) 日本語

Nama saya (名前)(私)  私の名前

 

というわけで、「田中先生」は「先生田中(guru Tanaka)」と呼ばれるかもしれません。

ちなみに小さいサイズのバスが町の中を走っていますが、車体には「bas mini」と書いてあります。

 

H.M.

アクセントとイントネーション

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カテゴリ:ことばの問題

日本語教師を目指す人の大部分は日本語教師養成講座に入って、初めて音声学を学ぶのではないでしょうか。私もそうでした。

音声学を学ぶ際にちょっとひっかかる単語が「アクセント」と「イントネーション」です。

 

多くの日本人が「言語」というものを「明示的に意識する」のは英語を初めて学んだ時ではないでしょうか。その時、私たちは「アクセント」という単語に出会います。英語はご存知のように強弱アクセントですね。desert(砂漠)は頭を強く発音し、dessert(デザート)は後ろの方を強く発音するといったように。

 

音声学の用語で、「単語を区別する」ものをアクセントと言います。大多数の日本人はこのとき「強く発音すること=アクセント」と頭の「辞書」に入れます。英語は「強弱アクセント」の言語なので、これはこれで問題はないのです。(音声学とは関係なく、一般的な英語の言い方で、方言特有の音声的特徴の総体のこともaccentと言いますね。Australian Accentのように。)

 

さて、日本語教育の道に進もうと、養成講座に入り、音声学の授業で「日本語のアクセント」という言葉を聞いて、混乱する人は少数ではありません。「箸と橋はアクセントが違いますね」という言葉を聞いて「え?それってイントネーションでしょ?」と思うようです。「アクセントは音の強さで、音程の違いはイントネーションでしょ?」ということですね。そこで、先生が「日本語のアクセントは高低アクセントです。」というと「じゃ、イントネーションって何?」となります。

 

音声学で使っている「アクセント」という言葉の定義は「単語を区別するもの」です。英語のように「強弱アクセント」の言語も、日本語のように「高低アクセント」の言語もあります。

 

では「イントネーション」とは何でしょう。「単語レベルを超えた文などの全体に現れる音調で、話し手の聞き手に向けた態度表明の役割を持つもの」です。

「そうでしょう」と語尾を下降させると、「推量」。語尾を緩やかに上昇させると、「確認」。

「しょ」から急激にかなり高く発音すると「非難」になったりします。

 

今回はここまで。

 

H.M.

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