小説 「赤門会学生の生活 ビジネス就職クラス編」




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小説 「赤門会学生の生活 ビジネス就職クラス編」

10月10日 - まだ早い夕明りが不慣れな日

機会があったら日本で働きたかった。
幼い頃から日本のアニメや漫画、ゲームが好きだった。単純に子供の趣味だと思うにはかなり深く興味を持ち、私も機会があったらいつかこういうものを作ってみたいなと思った。
でも、機会って、そんなに優しいものではなかった。時間が流れるとどんどん、私がしなければならないことがたまっていって、気がついたら私がやりたいことではなく、ただ、できることをしているだけの自分が見えた。
今の職場にずっと通ってもいいのか……。と悩んでいたとある週末。忙しくてちゃんと見られなかったアニメを見ながらひょいと、‘俺もこういうもの作りたかったんだけど……。’ということを思い出した。そして決心した。機会が来ることを待たずに、直接機会を取りに行く、と。
できれば全力でしてみることにした。国内よりは日本で転職をすると方向を決めて、いろいろな情報を収集した。大学で日本語を専攻して言語に対する負担は比較的低いが、やはりその国の文化や生活様式は直接経験しないと分かりにくいと思った。
その時、赤門会日本語学校のことに触れた。私にとって日本語学校は、ただ言語を教えてくれる学校、それ以上も、それ以下もなかったけど、この学校には外国人留学生の就活を支援するビジネスクラスがあるそうだ。その上、そのクラスは留学生の中でけっこう人気があるらしい。
“お前、日本に行ったこともないじゃん。なら無理しないで学校から始めることもいいように見えるけど”
“就活って、そんなに甘いものでもないし、一人では大変だと言ったよね。”
家族、友達のアドバイスと自分なりの悩み。結局、私は留学を決めて、今は少し甘い日本の食べ物に適応するように頑張っている。
学校のビジネスクラスは半年単位で2回、1年間行われる。そして明日から本格的な授業が始まる。日本留学という一歩でどんな機会を作れるか、そのときめきと期待の音が静かに響いている日だった。

11月13日 - 陽ざしの焼ける匂いがちょっとだけした日

少しずつ時間が過ぎながら、この学校に来てよかったと思う日がだんだん増えている。
本格的に授業が始まる前、このクラスを希望する学生たちを対象にする実力テストが行われた。そのテストを通過するくらいの日本語ができる学生を募集したので、語学を教えるための一般クラスのプログラムとは確かに差別化されている。
あたりまえのように日本語で進む授業。実力テストの結果に基づいたプログラムはもちろん、日本の就活、面接のための時間も別に構成されていた。こういうことを知らずに日本での就活をしたら確実に危なかったはずだと思われるくらい、いろいろな方面の専門的な教育が行われていた。もちろんその分、
“はぁ、今日も難しすぎたね。”
“うん、確かに。テストの点が低いのはいいけど、考えなきゃならないのが多すぎ。”
……初めての就活で、経験がない学生には難しいかもしれない。
単純に会話ができるだけで就職ができるほど、日本は甘くない。この学校では面接現場だけでなく、これからの職場生活で使うようになることについても教えてくれる。一般の常識、発表や会議でのスキルはもちろん、日本特有の敬語の使い方とミーティングのマナーなど、母国でも難しいことを学ぶ。外国生活の適応とともにこういう様々な授業が行われるせいで、あまり余裕のある学校生活にはならない。
“次の時間は何?”
“面接練習。”
それでも学んでいたらいつかは自分にとって役に立ってくれる感じで、クラスの皆はまじめに授業に参加している。半年前からこのクラスに所属している継続性の中では、もう会社の内定をもらった人もいる。彼らと情報を共有してみると、それなりに自信も得る。
“またたどたどしくなるな”
“大丈夫だよ、皆、下手だから学校通ってるんじゃん。”
まだ苦手で難しいけど、お互いに応援も心配もしてくれる様子で少しずつ慣れている気がする。
“どうにかなるからさ”
今日より明日、明日より明後日。
一歩、一歩。皆日本に慣れていていた。

12月1日 - 雨粒の演奏会、風が舞った日

前にスーツを着たのはいつだったっけ。もし小さくな……、いえ、私が大きくなっていたらどうするか心配しながら着たけど、幸いにまだよく合った。
今日は外国人留学生を対象にする企業説明会がある日だった。日本では説明会に参加しないと面接を受けさせないという会社もあるぐらい、企業の説明会、あるいは面接会を重要視する。学校ではあちこちで行われるこういうイベントを調べ、私たちが参加できるように誘導、支援してくれる。一般の語学クラスではない、ビジネスクラスだけの恩恵だ。
こういうイベントにはスーツが基本。いつもカジュアルな身なりのクラスメイトたちも、今日は本当に社会人みたいだった。
“では、出発します。”
企業の調査のために今回は学校の先生も同行した。初めて向かい合う実戦。皆期待と不安を抱いて足を動かした。

企業説明会の場所はけっこう広くて、数多い外国人がブースで担当者の説明を聴いていた。いつも考えていたことだけど、こんなに多い外国人が私たちのように日本で就活をしている、そういうことを肌で感じられた。
それぞれが希望する業界も、職種も違うので、自由な参加のためにすぐ解散した。結局就活は自分自身のこと。少し緊張した足取りであちこちを調べ始めた。皆どこから行けばいいのか、担当者しかいないのに一人で行ってもいいのか迷ったけど、すぐ慣れて学校の授業みたいに担当者の説明に耳を傾けた。
私が見て回ったのは3社。担当者は親切で、外国人なのでまだ日本語の実力が足りない場合を配慮してくれた。おかげで説明は難しくなかった。日本語のことも、人と会うこともだんだん良くなるだろう。
“これからもたくさんイベントがあるはずです。採用のためにもいいけど、経験を重ねるためにも積極的に参加してみてください。”
この企業説明会に入場する前に先生が話したことを思い出した。確かに、単純な情報だけでなく、いろいろなことを得た。学校の授業よりこういう経験が大事な時もあるだろう。そして、就職して新しい経験を重ねたら、今度は留学生ではなく担当者としてここに来るかもしれない。
そこまで思ったら少し楽しくなった。誰も分からない未来だけど、時々感じられたらいいなと思う。
今日は、そんな日だった。

12月20日 - 年末、寒い空気が町を包んだ日

“明日は特別に、東京都内の会社に直接見学に行きます。一つの会社から赤門会日本語学校の留学生に会社を紹介し、できれば面接を通じて採用を進めたいという要請がありました。皆は明日までに見学する企業を調べてください。そして、身なりに気をつけて来てください。”
昨日、先生からお知らせがあった。こんな要請はなかなかないので先生も少しびっくりした感じだ。ビジネスクラスだとしても、一般の学生に会社を開放すること、それを会社側から要請したことは私たちに期待しているということだろう。前に参加した企業説明会とは違う緊張感をもって、学校に行った。

今度の会社は洗濯機などの部品の製作、開発に有名な会社だった。規模が大きいとは言えないが、市場掌握力は優れていて、日本国内でも指折りの会社だという。最近、販売市場を世界に広げるために外国人を積極的に採用している。私たちにいろいろなメリットがある会社だと思われる。クラスの中では直接履歴書を出すために持って来た人もいる。すごいやつ。
会社はあまり遠くなかった。少し冷えた天気に赤くなった顔を包みながら踏み入る私たちを会社の担当者は嬉しそうに迎えてくれた。簡単な挨拶の言葉を初めとしてすぐ、私たちだけの企業説明会が始まった。
時間は約1時間。会社の主力商品と今進んでいるプロジェクト、開発した商品などの紹介を聴いてから質疑応答時間を持った。会社の社長が直接答えてくれるなど積極的な様子を見せてくれて、それに加えて会社では外国人留学生のことをどう考えているのかに対しても話してくれた。最初は私が希望する業界とけっこう距離があって軽い気持ちで聴いていたが、‘これから私が応募するようになる会社もたぶん、この会社と同じ立場だろう。’と思って少しは集中するようになった。その場にいたクラスメイト皆、同じ考えを持ったはずだ。
出口まで見送りをしてもらいながら私たちの見学が終わった。出る前、自分の履歴書を出す友達の姿に大きく笑った社長の笑い声に、今度の見学がお互いにかなり満足だったのが感じられた。出した以上、いい結果になったらいいなと祈る。

日本の会社だとしても自分の前職とはあまり違わなかった。同じように人々が働いて、生きている空間。逆に、それを理由として私もよくできるはずだという自信感を得た。
学んで、練習して、身につける。
それを続けたらいつか私も、誰かに自分のことを紹介する日が来るだろう。
少しだけ、もっと頑張っても悪くないと思う日だった。


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