豊富な働き方の選択肢
「日本語教師として働く」と聞くと、どのような場や働き方をイメージしますか。
日本語教師という仕事の魅力の一つとして、働き方の選択肢が多様であることがあげられます。ここでは、大きなくくりとして、雇用形態、どこで働くかといった2つの観点から紹介します。
雇用形態
日本語学校では主に、常勤講師・非常勤講師という二つの雇用形態があります。仕事の範囲はそれぞれの学校によって異なりますが、一般的には下記のような違いがあります。
常勤講師は、会社に例えるなら正社員の位置づけです。一つ一つの授業にとどまらず、カリキュラムの作成や学校運営にも関わります。多くの場合はフルタイムで出勤し、授業を受け持たない時間も多様な業務をこなします。
非常勤講師は、一般的には授業だけを受け持つ日本語教師で、決められた授業のみを担当します。授業のコマ単位や時給制によって給与が支払われるケースがほとんどです。他の仕事と掛け持ちで週に数回働きたいという方や、日本語の指導のみに専念したいという方におすすめの働き方です。
どこで働くか?
大きくわけて日本国内、海外での違いがあげられます。
また、最近ではオンラインで日本語を教えるという働き方も増加しています。
以下の項目では、「日本国内」「海外」「オンライン」での働き方を紹介します。
日本国内で日本語教師として働く
日本国内で働く日本語教師は、次のような場所で活躍しています。
・日本語学校
・大学、専門学校
・企業での、外国人社員や研修生を対象とした日本語担当
・インターナショナルスクールの日本語クラスの担当
・自治体職員
常勤職員(正社員)、非常勤職員、業務委託など、雇用形態は様々です。
なお、自治体などが主催する日本語教室では、多くの場合ボランティアの方が活躍しています。
日本語学習者の増加に伴い、日本語教師を募集している学校や機関は数多くあります。
教職員採用に向けた説明会や見学会を実施している学校や機関も多く、そのような機会を利用して、学生の様子や校舎・教職員の雰囲気、働き方などについて知ることができます。ホームページで説明会や見学会に関する情報を確認してみることをお勧めします。
海外で日本語教師として働く
海外で日本語教師として働く方法として一般的にあげられるのは、以下の方法です。
・現地の日本語学校や大学の日本語講師
・現地の学校(小・中・高)の講師
・現地の企業で働く
・公的機関の派遣プログラムへの参加
選考は、オンラインでのやりとりだけで完結するケースも増えてきましたが、最終面接のみ現地で行う場合も多いです。
国際交流基金の2021年度の調査によると、海外の日本語教育機関数18,272機関のうち、上位3か国は中国・インドネシア・韓国となっており、これらの国で全体の 48.1%を占めています。学習者数についても同様の順位であることから、日本語教師の求人数が多いのも、これらの国々をはじめとした東アジア・東南アジアが中心です。
海外で働くにあたり、登録日本語教員や日本語教育能力検定試験・日本語教師養成講座420時間といった資格が公的に求められているわけではありません。
しかし、必要な資格や条件は職場によってさまざまですので、自分のスキルや経験値が応募条件に当てはまるかを個別に確認する必要があります。
出典元:2021年度 海外日本語教育機関調査 (独立行政法人 国際交流基金Webサイト)
オンラインで日本語教師として働く
近年増加しているオンラインスクールは、SkypeやZoomを使用して授業を行うため、インターネットがあれば場所や時間にとらわれずに柔軟に働くことができます。
オンライン日本語教師は時間の融通が利きやすいといった点から、フリーランスや副業として始めやすいという利点もあります。また、日本語教育に関する資格を問われない場合も多いです。
自由度が高いというメリットがある一方で、スケジュール管理や、授業を運用するためのPC環境やネットワーク環境の整備などを自分で行う必要があります。
その他の幅広い活躍の場
日本語教師としての資格や経験は、外国人に日本語を教えるという仕事以外でも様々な場で活かすことができます。
たとえば、下記のような場があげられます。
日本語教師の試験対策講座や育成機関の講師
これから日本語教師を目指す人や、スキルアップを目的とした日本語教師を対象に、指導・育成をする仕事です。現場での経験を重ねた方が採用されることが多いため、将来的なキャリアの選択肢となります。
日本語学習教材の開発
現場で学習者と接してきた経験があるからこそ、題材の選定やレベルの調整といった役割を担うことができます。教材の出版社に加え、語学学習アプリを開発している企業も増えています。
学校の事務やカウンセラー
留学生が多く在籍する日本語学校や専門学校、大学には、彼らの学生生活サポートや進路指導を担う役割も必要とされています。日本語教師として多様な背景を持つ学生と接した経験は、日本語を教える以外の形でも、彼らの支えとなります。