どんな人が日本語教師になっている?
性別・年齢を問わず、多様な人が働いているということが、日本語教師という仕事の特色でもあります。
大学で日本語教育を専攻し、卒業と同時に日本語教師として就職する人もいますし、定年退職後に日本語教師養成講座に通って、未経験から日本語教師になったという人もいます。
そして新卒で日本語教師になった人以外は、日本語教師になる前は全く違う業種・職種の仕事に就いていたという人が多くの割合を占めます。
一例として介護・医療関係者、製造業、流通業、また留学や仕事で海外に行った経験を持つ方など、多様なバックボーンを持った方々が集まっています。
このように、日本語教師になる前の仕事は人それぞれですが、そのそれぞれの経験が、日本語教師として他の教師と差をつける大事な要素となります。
日本語を学ぶ人が増えていると同時に、日本語教育も多様化しており、「日本語+プラスα」というコースのニーズも増えています。
例えば、外国人のビジネスマンに「使えるビジネス日本語」を教えるコース。敬語に加えて、アポイントの取り方、企画書の書き方なども教えなければなりません。そういった場ではビジネスの現場経験のある先生の出番です。他には看護師の国家試験を受ける学習者に教えるコースでは、元看護師の先生が適任といえます。
このように日本語教育に携わる前に持っていた知識・技術は無駄になることは決してなく、むしろ大きな強みと言えます。
職業以外でも、趣味の知識が役に立ったり、学習者とのコミュニケーションの助けになったりすることもあります。例えば、現在世界中で日本のアニメ・漫画が好きという若者が増加していますが、そういった知識も必ず役に立ちます。
日本語教師に向いている人とは
日本語教師に向いている人は、次のような特徴を持っている人です。
・人と接することや教えるのが好きな人
・柔軟性や適応力がある人
・コミュニケーション能力が高く、相手に寄り添える人
・異文化や国際交流に興味がある人
・日本や日本語について、正しい知識や高い関心を持っている人
・幅広い情報収集力がある人
日本語教育の現場では、学習者やクラスの雰囲気や理解の程度に合わせて授業の流れを変えたり、学習者のニーズに応じて教え方の工夫をしたりすることもあります。状況に応じた臨機応変な行動や発想の転換をすることが苦ではない方は、日本語教師に向いているといえるでしょう。
日本語教師になるために必要なスキル
「資格」そして「能力」の二つの側面から、日本語教師に求められるスキルを説明します。
・日本語教師として必要な資格
法務省告示校である日本語教育機関で日本語教師として働くには、1.日本語教育能力検定試験に合格する 2.大学で日本語教育を専攻して卒業する 3.日本語教師養成講座を修了するのいずれかを満たすことが条件です。2024年度に始まった新制度では、認定日本語教育機関で働くためには登録日本語教員の資格が求められます。現在は経過措置期間中のため、登録日本語教員の資格を取得していなくても、従来の要件で日本語教師として働くことができます。こちらのページでも、詳細を説明しています。
日本語教師として備えておくべき能力は、下記のようなものがあげられるでしょう。
・日本語を教える能力
「日本語を知っている・話せる」ことと、「日本語を教えられる」ということは別のものです。「日本語を教えるための勉強」をしていないネイティブ日本語話者が、正しく日本語を教えられるかというとそうではありません。
日本語を母語としない人に、その人にとっての「外国語」である日本語をどのように教えていくかという視点が欠かせません。日本語教師は、日本や日本語を客観的に見て相手に伝える能力が必要です。
・異文化コミュニケーション能力
異文化コミュニケーション能力とは、異なる文化や価値観をもつ人とスムーズに意思疎通をはかる力です。日本語教師は、さまざまな国・地域に文化的背景をもつ人と接する仕事です。相手に対して常に敬意と感心をもち、違いを受け入れて適応していく能力が求められます。